大阪市東淀川区、吹田市、摂津市のリハビリ訪問看護ステーション アルシア:井崎晃男インタビュー

所長インタビュー

アルシアは理学療法士を中心に、看護師・作業療法士・言語視覚士が集う、リハビリ訪問看護の専門家集団。在宅医療のストレスを解消し生活の質を向上するために、チーム看護を実践しています。「健康・医療・介護・福祉」の正しい情報やサービスの提供で、地域の健康長寿の引き上げを目指すというアルシアの井崎所長に、その想いのほどを聞きました。

訪問看護について

【インタビュアー】
訪問看護の仕事とはどんなものですか?

【井崎】
訪問看護は、障害やご病気を持つ方々が、住み慣れたご自宅や地域で、自分らしく療養生活を送れるように、看護師など医療スタッフが、直接ご自宅にお伺いして、自立のお手伝いをするサービスです。アルシアでは訪問看護を、看護士・理学療法士・作業療法士・言語療法士の4つの職種の専門家がチームで行っています。

【インタビュアー】
どうして4つの職種の専門家がチームで対応されているのでしょう?

【井崎】
違う職種のスタッフが、それぞれの特色に応じて、患者さんの状態を把握することが必要だと考えているからです。

在宅看護の現場では医療的処置はもちろん、食事・排泄・入浴といった、日常生活の支援のほか、療養生活指導、医療機関や介護施設との連携もとらなければなりません。その他、認知症や精神的な障害の方のケアも必要です。

中でも我々が特に力を入れているのが、リハビリによる機能回復によって、活き活きとした日常生活を取り戻し、行動範囲を広げていただくことです。

リハビリで問題が克服されれば、日常生活の質は劇的に良くなり、社会へ関わりも増えます。

これらのことを複合的にとらえて、アルシアは看護師だけでなく、リハビリ職の理学療法士、作業療法士、言語療法士による対応も不可欠だと考えています。

理想は、かかりつけの先生がすべての患者さんのご自宅に、往診いただくことですが、現状では手が回らないという問題もありますので医師以外の、私たち医療従事者がフォローすることで解消できればと思います。

【インタビュアー】
井崎所長は、理学療法士の資格をお持ちですが、なぜ資格をお取りになろうと思われたのでしょう?

【井崎】
学生時代から社会人まで、ずっとラグビーをしてきたのですが、そのラグビーをきっかけに渡航したニュージーランドで、ボランティア活動を通じ「理学療法」と出会ったことがきっかけですね。

ニュージーランドの病院では、「未病のための予防施設」が日本に先駆けてあります。この予防施設は、日本でいえばフィットネス的な要素をもっているのですが、医療との連携で理学療法士が指導にあたっているのが大きな違いです。

もともと日本では、スポーツクラブで働いたこともあり、自分が持っているスキルを活かして、利用者さんの身体に良い影響与えることができればと考え、帰国後すぐに理学療法士の学校に通い始めました。

【インタビュアー】
そこでの出会いは、所長の考えに大きな影響を与えたのですか?

【井崎】
現地、オークランドの病院で理学療法士のアシスタントをしていたとき、あるラグビー関係者の家族を担当しました。彼らは、ケガの治療や予防・再発に取り組んでいたのですが、目に見えてぐんぐん良くなっていく。「目に見える変化」の体感は、大きかったと思います。

地域に対する想いは?

【インタビュアー】
アルシアはなぜ、東淀川区を中心に活動されているのですか?

【井崎】
東淀川や摂津・吹田市は、私自身が、病院や診療所に所属しながら14年間活動してきた地域です。だから土地勘もあるし、長年お付き合いをさせていただいている患者さんやご家族さんもおられますから。

長年病院や診療所で勤務していると、お姿をお見掛けしなくなる方も、少なからずいらっしゃいます。こう言った方々は、亡くなったり・入院したり・施設に入所したり・ご家族に引き取られたりなど、何らかの理由で地域を離れるわけですが、活動を続けていく中で、
「ご自宅で適切な医療サービスを受けることができれば、いままで通りの暮らしを続けることができたのでは? 」
「自分達の専門性を活かせて関わらせてもらえれば、何かが変わるかもしれない。」

そんな思いを持つようになりました。

長年お世話になったこの地域から、自分達のスキルを活かして、在宅医療を変えていきたい。生活の質を向上させたいと考え、東淀川の地を選びました。

訪問看護「アルシア」設立の経緯

【インタビュアー】
アルシアの設立経緯を、教えていただけますか?

【井崎】
地域による、「健康・医療・福祉・介護」の情報や機会の格差をなくしたい。
という思いが起業のきっかけですね。

実は人の寿命は、2つに分かれています。
1つは「平均寿命」、これは生まれてから死ぬまでの期間の平均値です。
もう1つは「健康寿命」、こちらは日常生活を健康的に送ることができる期間ですね。

全国的な値でみると、大阪の健康寿命は、男性で44位・女性は45位です。
平均寿命でいうと、男性は41位で女性は40位となっていて、後ろから数えた方が早い位置にいます。その大阪の中でも東淀川区は、市町村郡74の中で73位です。一方、お隣の吹田市は、大阪府下で1位。この差はどこから来ているのか?

私は「健康・医療・福祉・介護」に対する情報量の差が、おおもとにあるのでは?と考えています。東淀川区の方も「健康や医療」に関しての意識はお持ちのはず。
国や自治体も、健康や医療に対するフォーラムなどを開いてはいますが、まだ十分ではない。
だからこの地で、自分達の技術や経験を活かして、「健康・医療・福祉・介護」に接する場を少しでも増やしたい。いきなりトップ5に入るのは難しいかもしれませんが、活動を通じて少しでも向上させたい思いで、事業を立ち上げました。

【インタビュアー】
看護の仕事には、良いこと悪いことどちらもつきまとうと思います。
印象に残る患者さんは、どんな方々ですか?

【井崎】
退院された後、リハビリを1年2年と頑張って、病院に歩いてこられる方にお会いすると、すごく嬉しいですね。逆にご自宅に戻られても、独居などでデイサービスに行くことを余儀なくされている方々もおられます。しかたのないことだと思いますが、機能回復が望めるのに、リハビリの優先順位が低くなると、機能の回復が限られる。それが原因で生活する範囲が狭い方を見ると残念な思いもあります。
しかしご自宅など在宅で生活されているのであれば、、たとえ身体の機能が大きく回復できなくても、介助等その他の工夫次第で、できるだけ自立した生活にシフトいただくお手伝いはできます。

様々な環境や考え、社会的な理由があるので、「何が正しいのか?」と言われたら答えるのは難しい。でも病院に勤務しているときとちがい、自分から患者さんの家に伺うことができる。これは、主体的にその人に合った看護やサービスが提供出来るということでもあるわけです。
ただ在宅の場合、利用者様やご家族様、ケアマネージャー様の依頼がなければ、私たちも動くことができません。我々のような専門職の存在を皆さんに知っていただいた上で、どんどん活用してもらいたいと思いますね。
これからは、残念な思いをバネに、一人でも多くの患者さんのケアができればと、考えています。

アルシアの特徴と今後について

【インタビュアー】
アルシアの特徴をお教えください。

【井崎】
アルシアは、サービスを受ける本人とご家族の方々の意見を尊重しつつ、できるだけ自立をサポートすることを目指しています。訪問看護だけでなく、リハビリも大切なベースとしてとらえているところが特徴ですね。
そのためには、コミュニケーションをしっかりとることが不可欠です。

だから我々は、足を使って顔の見える連絡をとったり、連絡ノート使った、温かみのあるコミュニケーションを大事にしています。
それに、患者さんの日々の体調に合わせた、臨機応変な対応を心がける点も、自慢できるところですね。スタッフも経験豊富なベテラン揃いですので、ご利用いただく方々に、安心していただけると思います。

【インタビュアー】
チーム看護は、大きな差別化につながると思うのですが。

【井崎】
確かにチームそれぞれで、細かい気配りを行う点は、差別化できるポイントかもしれませんね。我々は、患者さんの生活リズムを踏まえてベッドの位置や、床のすべり止め防止をお願いするなど、家の中の動線改善の提案も、できるだけ行うようにしています。
職種の異なる専門家がチームになるからこそ、細かいケアが可能になるのではないでしょうか。我々は、患者さんのお宅の中に入れていただいて、お仕事をさせていただくわけですから、きめ細やかな対応から逃げてはいけないと、常に考えています。

【インタビュアー】
アルシアでは「医療行為」と「それ以外のサービス」で気を付けていることはありますか?

【井崎】
医療行為でいうと、技術的な向上や確実・丁寧な対応を目指すことにつきますが、これは当然のこと。

感覚的なお話しになりますが、一般的に医療従事者は、病院や施設という狭い領域の中で、完結しがちなんです。確かに医療行為は、専門知識や資格、その他の制約や高い専門スキルが必要になるため、それで間違いではないと思います。
でも世間は広いわけですし、医療従事者の常識が世間の常識とは限らないと思います。利用される方々、ご家族様も幅広い経験をお持ちですし、人生の大先輩でもあるわけです。
だからこそ、医療従事者は、もう少し視野を広げて対応していく必要があるのではないでしょうか。

そのためアルシアでは医療従事者であっても、できるだけ、医療関係以外の社会経験をお持ちの方を採用するようにしています。人材募集に関して、うちはかなり神経を使っていますね。

医療行為以外に目を向けると、特に利用者様の家の中の環境や容姿を見ることに、気を配っています。ご高齢の方々の衣服や、ベッド周りの配置・シーツの変化、それに身の回りの変化は、安全防止に結びつきます。

それに「髪型変わりましたね?」という問いかけにイヤな思いをする人はいないと思います。訪問看護では、何より信頼関係が大事になってくるので、「見る・見られている・気づき」をお互いに、共有することは大事だと考えています。

【インタビュアー】
スタッフに対する教育や共有されている観念についてお話しいただけますか?

【井崎】
そうですね、アルシアでは、ご利用いただく前のお約束5か条、といものがあります。
1.「一人ひとりに寄り添う看護リハビリを約束します」
2.「笑顔をモットーに看護リハビリを提供することを約束します」
3.「自分らしさを取り戻していただくことを約束します」
4.「技術知識を高める努力を行い、質の良いサービスを約束します」
5.「利用者様の家族様に信頼感と安心感を提供します」

これら5つの条項を、利用者様にお約束して、スタッフにも徹底していってもらうつもりです。

【インタビュアー】
「訪問看護」を通じて地域に何を伝えたいですか?また目標は?

【井崎】
まずは看護師さんと、リハビリを専門とにしているスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)を通じて、地域の人々に在宅での看護やリハビリについて、知ってもらいたいと考えています。

看護やリハビリは、テレビやメディアで得る情報と、実際に体感するのとは全然違う。
だから、「情報や知る場」をご提供させていただいて、その違いに気が付いていただきたいんです。

「自宅や地域で少しでも長く生活していくには何が必要なのか?」「正しい在宅医療の在り方は?」「健康についての正しい知識は?」これらの情報を正しく理解することで、確実に地域の健康寿命は向上する。各パートの専門家である自分たちが地域の方々と関わることで、最終的には“健康寿命日本一”になるようにしたい。
道はまだ遠いですが、それこそが、私たちの目標です。

TOPページへ戻る

メールでのお問い合わせ